第42回 前橋市民文化会館/群馬大学昭和キャンパス
主催:日本組織細胞化学会
共催:群馬大学医学部

講習会プログラム

2017年8月2日(水) 講習会第1日目(前橋市民文化会館)

開  場 8:40
開会挨拶 9:20~ 小路武彦 理事長
松﨑利行 実行委員長
講演1 9:30~10:10 "免疫組織化学の基本、基礎と応用
小澤一史(日本医科大学大学院医学研究科解剖学・神経生物学分野)
講演2 10:10~10:50 組織の固定について ─モデル動物の最適な固定法をもとめて─
宮崎龍彦(岐阜大学医学部附属病院病理部)
休憩(10分)10:50~11:00
講演3 11:00~11:40 組織細胞化学のための標本作製の基本
大野伸彦 (生理学研究所分子生理研究系 分子神経生理研究部門)
講演4 11:40~12:20 免疫組織化学法の実験デザイン
鈴木 貴(東北大学大学院医学系研究科病理検査学分野)
弁当引換(有料、事前申込者のみ)(20分) 12:20~12:40
ランチタイム企画 12:40~13:40 特別講演:CRISPR/Casによるゲノム編集技術の基礎と応用
堀居拓郎(群馬大学生体調節研究所生体情報ゲノムリソースセンター)
休憩(10分) 13:40~13:50
講演5 13:50~14:30 抗原性賦活化法の基礎と実際
増田しのぶ(日本大学医学部病態病理学系腫瘍病理学分野)
講演6 14:30~15:10 酵素抗体法 ─基礎から実践まで─
鴨志田伸吾(神戸大学大学院保健学研究科病態解析学領域)
講演7 15:10~15:50 蛍光抗体法の基礎と実際
松﨑利行(群馬大学大学院医学系研究科生体構造学分野)
休憩(10分) 15:50~16:00
講演8 16:00~16:40 ポリクローナル抗体の作成と抗原デザインの基礎
大海 忍
講演9 16:40~17:20 モノクローナル抗体の作製法とその利用法
松山 誠(重井医学研究所分子遺伝部門)
移  動 17:20~18:30
懇親会(前橋テルサ) 18:30~

2017年8月3日(木) 講習会第2日目(前橋市民文化会館)

開  場 8:40
講演10 9:00~ 9:40 光学顕微鏡の使い方 ─基本と実践─
田中秀央(京都府立医科大学大学院医学研究科細胞分子機能病理学)
講演11 9:40~10:20 画像解析の基礎
宮東昭彦(杏林大学医学部解剖学)
10:20~10:30 休憩(10分)
講演12 10:30~11:10 培養細胞の蛍光抗体法
野村隆士(藤田保健衛生大学医学部解剖学1)
講演13 11:10~11:50 イムノブロッティング法の基礎
竹腰 進(東海大学医学部基礎医学系生体防御学)
11:50~12:10 弁当引換(有料、事前申込者のみ)(20分)
ランチタイム企画 12:10~13:10 特別企画:初心者からの質問を考える・答える
13:10~13:20 休憩(10分)
講演14 13:20~14:00 in situ hybridization法 ─基礎編
菱川善隆(宮崎大学医学部解剖学講座組織細胞化学分野)
講演15 14:00~14:40 in situ hybridization法 ─実践編
柴田恭明(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科組織細胞生物学分野)
14:40~14:50 休憩(10分)
講演16 14:50~15:30 レーザーマイクロダイセクション法の基礎
中西陽子(日本大学医学部病態病理学系腫瘍病理学分野)
講演17 15:30~16:10 リアルタイムPCR法の基礎
大日方 英(群馬大学未来先端研究機構)
閉会挨拶 16:10~ 西 真弓 次期実行委員長(奈良県立医科大学第一解剖学講座)
終  了 16:20

講演1

免疫組織化学の基本、基礎と応用
小澤一史(日本医科大学大学院医学研究科解剖学・神経生物学分野)

免疫組織化学は抗原と抗体が結合する免疫反応、いわば鍵と鍵穴の関係を利用して、求める特定の蛋白やペプチドの存在を細胞、組織、臓器、個体内で特異的に同定する研究手法です。顕微鏡を用いる形態学と、免疫反応、免疫沈降、Western Blottingなどを用いてと特定の物質検出を行う生化学の合体と捉えることも出来ます。
本講演では、はじめて免疫組織化学を学ぶ研究者を想定し、実践的に活用できるように説明し、よく用いられるプロトコールを中心に、実用的に解説します。

講演2

組織の固定について ─モデル動物の最適な固定法をもとめて─
宮崎龍彦(岐阜大学医学部附属病院病理部)

組織の観察のためには固定は必須です。組織の固定の理想は生体の中で営まれている活動の形態がそのままに不溶化、不動化されることであり、組織、細胞の構造、および観察の主目的にあたる種々の生物活性を持った物質の迅速、厳密な不動化と、それらの生物活性をできるだけ正常に近い状態に保存しなければならないという矛盾する2つの要件をバランスよく満たすことが重要です。
本講演ではまず化学固定と物理固定という固定の原理と固定剤の種類、固定の条件および標準的なプロトコールについて、特にアルデヒドによる化学固定を中心に述べ、そのあと、実験動物の固定に理想的と目される灌流固定の実際について解説します。

講演3

組織細胞化学のための標本作製の基本
大野伸彦 (生理学研究所分子生理研究系 分子神経生理研究部門)

組織細胞化学を用いた顕微鏡観察においては、ほとんどの場合、固定された生物組織をそのまま観察することは難しく、顕微鏡観察が可能な標本とするために様々な処理を行う必要があります。その中心となるのはその後の染色や観察を容易とするための切片作製ですが、こうした標本の作製方法はいくつか存在し、初学者にはそれぞれの違いや要点がわかりにくいと思われます。本講演ではいくつかの代表的な標本の作製法を紹介するだけでなく、初学者が自ら適切な方法を選択して組織化学染色や免疫染色を上手に行うことができるようになることを念頭に、各手法の向き不向きや実際に行う際の注意点を、演者の経験も踏まえながら解説したいと思います。

講演4

免疫組織化学法の実験デザイン
鈴木 貴(東北大学大学院医学系研究科病理検査学分野)

免疫組織化学の手技は十分に確立されています。しかし実際に行ってみると、一般的なプロトコールに従うだけでは満足な結果が得られないこともしばしばあります。免疫組織化学の実験結果を最大限引き出すには、基本原理を押さえながらも最適な染色条件に調整していく努力が欠かせません。そこで本講演では、新しい抗体を使って免疫組織化学的解析をする際に、我々が気にかけているポイント(抗体の選定、条件検討の進め方、本染色を行ううえでの注意点等)を、実験の流れに沿って説明します。

ランチタイム企画

特別講演:CRISPR/Casによるゲノム編集技術の基礎と応用
堀居拓郎(群馬大学生体調節研究所生体情報ゲノムリソースセンター)

近年CRISPR/Casという迅速・簡便なゲノム編集技術が急速に広まっており、生命科学分野の研究には欠かせないツールとなってきています。本講演ではCRISPR/Casによる培養細胞やマウス受精卵を用いたノックアウトおよびノックインについてご紹介します。また、切断活性のないCas9 (dCas9)を用いた応用例として、DNAメチル化を改変するエピゲノム編集についてもご紹介します。

講演5

抗原性賦活化法の基礎と実際
増田しのぶ(日本大学医学部病態病理学系腫瘍病理学分野)

免疫組織化学における抗原性賦活化法の開発は、一つの重要な契機でありました。抗原性賦活化により、微量蛋白の可視化が可能となり、固定条件による染色性の不安定性が軽減され、染色結果の評価に再現性がもたらさせるようになりました。その結果、研究分野においては免疫染色の応用可能性が広がり、さらに、実診療の現場においても応用可能な技術的進歩を遂げました。本講演においては、抗原性賦活化の理論と実践について解説します。抗原性賦活化法の留意点と今後の発展性についても触れ、より実践的な内容となるよう解説します。

講演6

酵素抗体法 ─基礎から実践まで─
鴨志田伸吾(神戸大学大学院保健学研究科病態解析学領域)

開発から50年の間、酵素抗体法は着実に発展してきました。直接法や間接法から始まり、現在ではポリマー法が主流となっています。また、抗原賦活化法の開発によって、ほとんどの抗原がパラフィン切片上で検出できる時代へと進展しました。一方で、酵素抗体法の自動化が急速に普及した結果、用手法の経験がなく、染色におけるトラブルの原因を推察できない技術者・研究者が増えてきたように思えます。そこで本講演では、酵素抗体法を改めて総合的に理解したいと考えている方のために、基礎から実践までをできるだけわかりやすく解説します。具体的には、酵素抗体法の原理、至適条件決定における抗原賦活化法選択の重要性、2ステップポリマー法の代表的プロトコール、簡便な二重染色法、正確な陽性反応を得るために知っておきたい注意点などについて解説する予定です。

講演7

蛍光抗体法の基礎と実際
松﨑利行(群馬大学大学院医学系研究科生体構造学分野)

本講演では、免疫組織化学のうち、蛍光抗体法に絞って解説します。今回はおもに組織切片を用いた染色を念頭にお話しします。蛍光抗体法は多くの研究領域で用いられる手法ですが、みなさんが必ずしも正しい手法で正しい結果を得ているとも限りません。例えば、適切な二次抗体を用いているか?適切な蛍光フィルターで観察しているか?蛍光のバックグランドを考慮しているか?などです。初心者の方には基本から理解できるように、そして中級者以上の方にもちょっとした工夫点などをお話しできればと思います。蛍光抗体法で少しでも良い結果、正しい結果が得られるように、基礎と実際の方法について解説したいと思います。

講演8

ポリクローナル抗体の作成と抗原デザインの基礎
大海 忍

多様な生物種においてゲノム解析が進み、今は遺伝子産物であるたんぱく質を標的とするプロテオミクスが盛んです。抗体もその特異性や検出感度を考えると有効なプロテオミクスツールのひとつです。抗ペプチド抗体は、遺伝子から翻訳された一次構造をもとにして抗原ペプチドを化学合成し、免疫原として利用するため、たんぱく質の特定の部分を狙ってモノスペシフィックな抗体を得ることができます。抗ペプチド抗体作成において最も重要な抗原ペプチドの分子設計について述べ、ポリクローナル抗血清の産生から抗体の精製、活用法を解説します。
参考文献:抗ペプチド抗体ベーシック  立体構造情報から抗原を設計する(学研メディカル秀潤社、2014)

講演9

モノクローナル抗体の作製法とその利用法
松山 誠(重井医学研究所分子遺伝部門)

組織細胞化学において抗体は特定のタンパクを検出する道具です。近年では分子生物学の発展により、簡便かつ安価にポリクローナル抗体の作製ができるようになりました。しかし目的の抗体を含む血清は不均一であり有限です。それらを解決するためには、モノクローナル抗体を作製します。その作製法は、「増殖しない抗体産生Bリンパ球」と「不死であるBリンパ球由来の腫瘍細胞」と融合させ、特定の抗体を培養下で無限に増殖させる能力を持った「ハイブリドーマ」を作製することにあります。今回の講演では、モノクローナル抗体の作製法から、市販のモノクローナル抗体を購入するときのメリット・デメリット、実際にモノクローナル抗体が必要とされる研究内容の実例まで、幅広くお話しする予定です。

講演10

光学顕微鏡の使い方 ─基本と実践─
田中秀央(京都府立医科大学大学院医学研究科細胞分子機能病理学)

レンズを用いて微小な物体を視覚的に拡大する光学顕微鏡は、組織細胞化学法に必要不可欠なツールです。今や光学顕微鏡は進歩し、組織・細胞の形態像はもとより細胞内分子の動態や細胞の機能を反映する高度な画像を得ることも可能になりました。しかし光の性質や顕微鏡の基本的な仕組みを理解しその機能を十分に発揮させないと、適切な光学顕微鏡画像は得られません。本講演では光学顕微鏡の基本的原理を解り易く説明し、さらに位相差顕微鏡、微分干渉顕微鏡、蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡を各々最大限に使いこなすためのポイントをお話します。

講演11

画像解析の基礎
宮東昭彦(杏林大学医学部解剖学)

美しい顕微鏡写真は実験データの提示法として説得力がありますが、画像解析の手法を用いると、陽性細胞数や面積比率、染色強度、共局在の有無など、画像のもつ様々な特徴の情報を数値化して定量的に評価したり、多数の画像を対象として統計学的に検討したりすることが可能となります。ここでは、無料で利用できる画像解析ソフト ImageJ を利用して、画像解析の考え方、画像解析でできることとその限界、よく使われるテクニックの具体例などについて、基礎的な画像解析の概略を解説します。また、実際の解析処理でよく遭遇するトラブルとその回避法、画像解析結果を対象に統計処理を行う上での注意点についても紹介します。

講演12

培養細胞の蛍光抗体法
野村隆士(藤田保健衛生大学医学部解剖学1)

培養細胞の蛍光抗体法を紹介します。受講対象者として,培養細胞内での目的タンパク質の局在を見たいけど,この実験に割ける時間もお金もあまりないという人や,やってみたいけどまだやったことのない人を想定しています。講習ポイントは以下の3つになります。(1)『基本的』な技術(これをマスターすれば各種手法に応用できる),(2)できるだけ『安価』な方法(ほんのチョット手間をかければ安くできる),(3)『時短』な手順(スキマ時間を活用できる)。当講習を受講することで,培養細胞の蛍光抗体法が実際にできるようになり,かつ自分の環境・状況に応じて上記ポイントをアレンジできるようになることを目指します。

講演13

イムノブロッティング法の基礎
竹腰 進(東海大学医学部基礎医学系生体防御学)

イムノブロッティング法は、医学・生物学分野の研究に広く用いられている基本的な実験法の一つです。本法の大きな特徴は、抗体によって検出された蛋白質の分子量を確認することが出来る点であり、標的とする蛋白分子に対する特異抗体を入手することができれば、正確な発現解析が可能となります。また、免疫組織化学を行う際に要となる抗体の特異性についても容易に検定することができます。最近では、抗リン酸化蛋白抗体、抗アセチル化蛋白抗体など化学修飾された蛋白質に対する抗体が市販されるようになり、単なる発現解析ばかりでなく、細胞内情報伝達系や転写制御に関する情報を本法により得ることが出来るようになりました。本講習会では、イムノブロッティング法の原理、基本的な手技、実際に本法を行う際に注意すべき点などを中心に解説します。

ランチタイム企画

特別企画:初心者からの質問を考える・答える

この講習会に参加される方の中には、組織化学を全くやったことがない方だけでなく、とりあえず始めてみたもののうまくいかず困っている、ちょっとしたコツを聞ける人がいない、という方が結構いらっしゃるのではないかと思います。今回の講習会では、そのような悩みを少しでも解消できるような「受講者参加型」の企画をしてみました。組織化学に関係するあらゆること(基礎的な質問を優先します)を対象とし、「こういうことがうまくいかない」、「誰にも聞けなかったけれどこれが知りたい」、などの質問を事前に集めて紹介し、その解決策を導くようなコーナーにしたいと考えています。質問は、参加申込締切後に専用メールアドレス(講習会ホームページで案内します)で募集したいと思います。多くの質問をお待ちしています。

講演14

in situ hybridization法 ─基礎編
菱川善隆(宮崎大学医学部解剖学講座組織細胞化学分野)

in situ hybridization(ISH)法は組織切片上で特定の遺伝子発現状態とその局在を明らかにする方法です。この方法は、細胞個々のレベルで目的とする特定の遺伝子発現を直接的に観察できる点、また、分泌蛋白質が実際にその細胞で産生されていることを証明できる点、さらに免疫組織化学では判別しにくい相同性の高い蛋白質のmRNA発現を区別しうる点、等で非常に有用な分子組織細胞化学的解析法です。しかしながら、実際の手技と結果の評価についてはある程度の「熟練」と「的確な対照実験」が必要です。本セッションでは、実験器具の準備から、固定法、薄切時の注意点を含めて、ISH法の基本的な手技について、特に初心者の皆様が実際に研究に利用していただけるよう具体的に詳細に解説したいと考えています。

講演15

in situ hybridization法 ─実践編
柴田恭明(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科組織細胞生物学分野)

in situ hybridization (ISH) で適正なシグナルを獲得するには、目的とする組織を迅速かつ適正に調整することが必要です。本セッションでは、組織調整法や包埋法がISH に及ぼす影響について詳細に御説明します。すなわち、1)過固定がISH に及ぼす影響、そして2)軟組織・脱灰硬組織間ならびに3) 凍結・パラフィン切片間でのPK 感受性の差異について、28S オリゴプローブを用いたISH の結果を具体的にお示し致します。また、4)RNA プローブの作成法、その長所と短所についても御説明致したいと考えています。

講演16

レーザーマイクロダイセクション法の基礎
中西陽子(日本大学医学部病態病理学系腫瘍病理学分野)

近年、遺伝子解析技術のさらなる向上が目覚ましく、より網羅的な解析を、より微量なサンプルから行えるようになってきています。次世代シーケンサーを用いれば、一度の解析で遺伝子相互の関係やシグナル伝達も見られてしまう可能性があります。このため、自分がどの細胞や細胞集団や組織の遺伝子を調べようとしているのか、より厳密なサンプリングが必要となります。レーザーマイクロダイセクションは、自分の目で観察し、同定した組織や細胞を精細に回収できるツールです。後の解析を成功させるためには、レーザーマイクロダイセクション法と微量検体からの核酸抽出が適切に行われる必要があり、ここではその基本的手技やピットフォールについて解説します。

講演17

リアルタイムPCR法の基礎
大日方 英(群馬大学未来先端研究機構)

リアルタイムPCR法は、ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction: PCR)による特定DNA配列の増幅を、蛍光色素を用いて経時的に測定する手法であり、ターゲット遺伝子の発現変化やサンプル間の差異を定量的に観察するのに幅広く用いられています。本講演では、分子生物学の初学者が自ら結果を得て解釈できるようになることを念頭に、リアルタイムPCR法の基本的な測定原理を概説するとともに、サンプル調製や試薬・機器類の選択、解析手法などを実際の実験手順に即して説明します。

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